LOS ANGELES
Rapha Spring-Summer 2008 Catalog Issue 1
RAPHA RIDES LOS ANGELES

INTRODUCTION

 5月に入り、もう一度気温が下がったときの15℃の感覚は5℃だ。待ち合わせにぎりぎりにも関わらず慌てて家の中に戻りLongsleeve Sportwool JerseyLightweight Softshell Jacketを引っぱりだし着替える。ついでにトイレにも行っておくか...  やっぱりStowaway Jacketにしておけばよかった。待ち合わせまでがウォームアップのはずが冷えた状態で30分インターバルだ。ハートレートモニターのアイコンが激しく点滅する。ゴールデンウィークの太陽は明らかに先月と違う。自分でもどうやって家族を説得したかわからないが今自分は自転車に乗っている。一般世間のお父さんの頭の中は「家族サービス」でいっぱいだが、俺は奴らと乗りながらジロの予測をすることで頭の中はいっぱいなんだ。気がつけばビッグ・スマイル...
エピック・ライドとは必ずしも選び抜かれたステージだけではない。気持ちが高ぶる状況であればいいのだ。たとえ500mだけでも特別な坂があればそれをルートに入れるだけでエピックになる。知っているライダーは坂に向かって加速し、知らないライダーはつられて加速してストーリーが始まる。雨、雪、泥が入ればどこでもエピック・ステージになる。

Los Angeles, California USA、March 2008

 これだけすばらしいロードがある中なぜシティー・オブ・エンジェルスか?レースや歴史を頻繁に語るブランドがアルプス、ピレネー、フランドルとある中、ロードライドの撮影でアメリカが候補にあがる事自体がサブスタンダードと言われてしまいそうな中、自転車のイメージから最もほど遠いロス・アンジェルスという舞台が選択された。何も驚かしてやろうという気持ちはなく、あこがれの地でなくてもエピックなライドは実は身近にも存在するというメッセージも込まれている。2008年3月、ベン、コールとアーロン、3人のRapha Ridersはロスのダウンタウンを出発点に一つのミッションに取り組む:

世界で最も車中毒なロス・アンジェルスに潜むグレードライドを探せ。

 ロス在住のロンドナー・エキスパトリアットのベンにガイドされた場所はダウンタウンを起点に3つのチャレンジングなルート。クライムは100mから2000m。ビーチとアーバン・スモッグから無人のキャニオンロードと大自然の山道へと変化に満ちたルートであった。そこは地図を開いて等高線を見れば一目瞭然だった。ネオンサイン、光化学スモッグ、フリーウェイ、交差点に包まれたベールを外すと、実はそこにはグレート・ライドにふさわしい地形があることが発見される。ハリウッドの丘はどこからでもアクセスでき、もう少し足を伸ばせばサンタモニカ山脈がある。億邸を抜けるとどんどん空気はクリーンになり視界が開けるのだ。気がつけばスモッグのブランケット越しに見える太平洋は1000m下。強い者はサン・ゲーブリアル山脈まで抜けられることを知っている。2000m近くあるマウント・ウィルソンでは毎年ヒルクライムレースが行われている。南側にはサンタモニカやクリテリウムが開催されるマンハッタンビーチ、そしてトーレンスビーチとカタリナ島を右手に眺めながら南下すればスペイン風でスイッチバックと豪邸が連続するパロス・ベルデス半島がある。クジャクを避けながらさらにパロス・ベルデス・ドライブを流すと、地面の移動が激しすぎて家が建てられないシュールなポルトギース・ベンドへと抜ける。このコントラストは何とも言えない。足が余っていればロングビーチをバイパスしてラグナビーチに抜けるまでずっと東側に丘がそびえ立つ。好きなとき左折すればいつでも登れるのだ。