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vol12

新しい年のはじめに、自分の自転車に対する取り組み方を見直そう。
モチベーションやコミットメント、ゴールの設定にポイントを置いて自分を理解し、プランをたててみよう。

 

新しいシーズンを迎える時、私はいつも「自転車というスポーツ」に対する、自分の取り組み方を見直す必要性を感じる。取り組み方を見直すということは、この先も続けていくためのモチベーションを理解することだ。

ここではモチベーションを、トレーニングを開始し、競技に全力を傾けるための願望と能力として定義しよう。モチベーションは、身体的なトレーニングと精神的な競争力を積み上げる上での基礎となるものだ。モチベーションは、辛さを我慢して乗り越えるためのエネルギーとなる。

ここではモチベーションに影響する2つの重要な要因、つまりコミットメントとゴールの設定について述べることにしよう。

 

コミットメントに関して最終的に答えるべき質問は、「自分は、それ(ゴールとなる対象)がどれだけ欲しいのか?」に尽きる。

コミットメントのレベルは正確に理解しておく必要がある。何故なら、そのレベルが来シーズン、あなたがトレーニングに取り組む姿勢を決めるからだ。

例えば、非常に熱心に取り組んでいる選手は、ほどほどに取り組む選手と比べ、トレーニングの要求が高くなっても我慢し、辛い時期も乗り切る可能性が高い。どちらのレベルがよいか悪いかと言う話ではない。しかし、現実的に自分がどれだけコミットできるかを知ることは、来シーズンに遭遇する困難に対処するときに役立つ。困難はどんな時もつきものだからだ。

以下の質問に正直に答えて欲しい。自分のコミットメントのレベルを認識することができるだろう。

 

・もし、あるゴールに到達することが理由であれば、次の質問は「そのゴールがあなたにとってそれほど重要なのは何故か?」である。

・内的な報酬 --- 気分がよくなる、健康になる、外見がよくなる、強くなる
・外的な報酬 --- メダルを取る、ステージやレースに勝つ、お金を稼ぐ、女の子にもてる、新しい友人ができる、自転車での経験を生かし、他の分野で成功する、など

・トレーニングをすることで、あなたが犠牲にするものは何か?社交、恋人や夫婦の関係、仕事、など

・仕事、恋人や夫婦の関係、経済的な状況、など

・内面的な価値、意義。このスポーツの何が好きなのか?
・この質問に答えるためには、最初にレースを始めた時、このスポーツの何が好きだったのか、自問自答してみるとよいかもしれない。つまり、自分の胸に手を当てて、自分に正直になることだ。

人生におけるどの分野でも、コミットメントについて理解する際に重要な点は、自分が参加することに対して意図的に選択することにある。この場合はスポーツだが、恋人や夫婦の関係、結婚、仕事など、あらゆる面において言える。何故か?意図的に選択することで、将来遭遇する困難を耐える能力が高まり、継続を力とする拠り所となるからだ。シーズンを通して、また人生を通して、あなた自身、そして他者に対してコミットメントをする際、このことを覚えておくとよいだろう。
 
 
 

ゴールの設定は、よいトレーニングを行い、競争力を高めるためには欠かせない。ゴールを設定していない選手は、帆のないボートに乗っているようなものだ。ゴールを設定することで、自分がどこへ行きたいのか、ポジティブなビジョンを描くことが可能となり、行動するための推進力と方向性が得られる。

またゴールを設定することで、自分がコントロールできる範囲の物事に対して集中して取り組めるようになる。パフォーマンス向上につながる事で、自分がコントロールできる要素は非常に少ない。だからこそ、そういう事には全力を尽くすべきである。例えば、自転車競技に取り組む際、そのトレーニングの種類、質、長さ、等は全て自身でコントロールし、決定できる要素である。

    ゴールは:
  1. 具体的に設定する。できるだけ詳細に設定。
  2. 現実的に設定する。一生懸命努力すれば到達できる範囲に設定。
  3. 数値化し、測定できるように設定する。特に、心拍計やパワーメーターを使用している場合。
  4. 二重構造に設定する。長期的なゴールと短期的なゴールを設定。

例えば、

2010年のジャパンカップのオープンチャレンジレースで優勝する。
  1. 5月までに3kg減量し、より高いパワーウェイトレシオを達成する。
  2. クライミングリピートのインターバルをより頻繁に行い、7月9日までに無酸素運動の閾値を350ワットまでに高める。
  3. 修善寺など、坂の多いレースにより多く出場する
  4. ジャパンカップのコースで月に1回は練習し、3月から10月までの間にラップタイムを2分縮める。
  5. 上記全ての短期的ゴールを達成できたら、自分へのご褒美としてZipp202カーボンホイールを購入し、ジャパンカップでの助けとする。


ジャパンカップに向けた短期的ゴールを設定した場合、その他にできることと言えば、もし昨年のレース優勝者を知っていて、もしその選手がパワーメーターを使用していれば、彼らのパワーデータと選手の情報を共有してもらえないか頼んでみるとよい。来シーズンはもっと強くなりたい、積極的に学びたいという旨を伝えればよいだろう。何故そのようなことをするのか?優勝者の情報を得ることで、前回のレースを勝つために何が必要であったかがわかるからだ。例えば、以下のようなデータだ。

  • レースを通して平均的な、または正常時のパワー値
  • 1分間、5分間、そして最も重要なのは、20分間での最高出力
  • レース中ほとんどの間に示す心拍数領域

もし相手選手の体重を知っていれば、選手の体重1kgごとに表示されているパワーウェイトレシオの表と比較することで、例えばその選手が体重1kg当たり4.5ワットの出力だとすれば、来シーズン、あなたがその相手と戦うためにはそれと同じパワーウェイトレシオを達成する必要がある(同じ選手が今年も出場する場合)。さもなければ、あなたに勝つチャンスは訪れない。何故なら、バイクの上で気分がよかろうが悪かろうが、数字は嘘をつかないからだ。

もうおわかりのように、長期的ゴールはシーズンを通して設定するゴールである。一方短期的なゴールは、月、週、日々の単位でトレーニング、またはレースのために設定するゴールとなる。両方が相互作用し、互いに補い合うものだと考えてほしい。

長期的ゴールは、あなたが何故、今目の前の事に取り組んでいるのかを思い出させてくれるだろう。特に、辛く苦しんでいる時に。

短期的ゴールは進歩を見やすくし、必要であれば修正する助けとなるし、長期的ゴールの達成に向けて近づくために小さな成功を積み重ねていることを評価する助けとなる。「成功が成功を生む」という諺が示すように、小さな進歩を認識し、自分が着々と準備を重ねていることを知ることで、自信につながり、継続へのモチベーションを高める。

これら全てのゴールを紙に書き出し、就寝前や、困難な時期、例えば仕事でトレーニングができず、落ち込むような時に、繰り返し見直すとよい。

この設定したゴールはいつも新鮮で具体的な状態に保ちたい。書き出しておくのはそのためだ。普段持ち歩いてもよいし、冷蔵庫、鏡、壁、手帳など、見えるところに貼っておくのもよい。これを活用すれば、あなたの原動力となるだろう。

実践したことや反省点は見直し、日記やパソコンに記録しておくことを忘れずに。シーズン後半にその記録を見直せば、設定したゴールに向けて、各時期、順調にいっても、そうでなくても、その積み重ねたパターンを把握することができるからだ。

最後に、ゴールにも柔軟性を持たせてほしい。何故か。それは、最初に設定したゴールを達成できないことは往々にしてあるからだ。大事なのは、その反省点から学ぶことであり、打ちひしがれることではない。設定したコースへ戻る助けとすればよいのだ。全てはあなたの旅なのだから!

エリート選手は常に状況を分析し、上手くいかなかった原因を見つけ、計画を調整している。ミスに対処し、次回よいパフォーマンスを発揮できるように努力する。ランスはクリス・カーマイケルと共にまさにこのことを実践し、癌に打ち勝った後、1999年にツールを優勝して歴史に残る劇的な復帰を果たした。そして今再び、彼は引退後の復帰2シーズン目に突入しようとしている。

これだけは覚えておいてほしい。「失敗などというものは存在しない。勝利に向けた、さらなる一歩であるに過ぎない。」

単にハードなトレーニングを積んではいけない。スマートにトレーニングをしよう。

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