CYCLINGTIME Home TV DX News Club Eguide Catalog Store

昨年のはじめに、私のアマチュア・サイクリングチームである「チーム・カーマイケル・トレーニング・システム・ジャパン(Team Carmichael Training Systems Japan、通称Team CTS)」を作った頃、チームメンバーの中に、脚力が無いためストレングスを強化する必要があるという選手が何人かいました。なぜなら、ハードなライディングをすると筋肉が最初にギブアップすることが多いためです。肺がヒートアップしたり息切れする前から、脚に乳酸が溜まり、全力でライディングすることが出来なくなってしまうのです。

サイクリングのライディングにおいて、脚力はもちろん重要ですが、多くのサイクリストが考えているほど重要度は高くありません。多くのプロサイクリストが見事な筋肉組織をしているのは本当ですが、脚力が成功に不可欠となる他のスポーツアスリートと比べると、プロサイクリストの筋肉は非常に細いのです。事実、クライマーをはじめとした多くのサイクリストの脚はとても細いですよね。もしアルベルト・コンタドールが誰なのか知らず、彼が目の前に立っていたとしたら、きっと栄養失調なんじゃないか!?と思うことでしょう。

無酸素性作業閾値を超えた時に感じるあの燃焼感は、筋肉衰弱が原因かと思うかもしれませんが、実は肺や心臓の不調が原因である可能性が高いのです。肺が十分な酸素を取り込めなかったり、心臓が脚に十分な血液を送りこめない場合、結果として痛み、弱り、消耗が起こります。

筋肉だけが強くてもレースに勝てませんが、明らかに心臓や肺だけが強くても足りません。筋肉、心臓、肺という3つのエネルギーシステムに多少のレッグスピードが加わって、パワーを形成します。サイクリングでは、パワーは神です。パワー=ストレングス×スピードです。この意味を見てみましょう。


脚力が全てではないとはいえ、ストレングスこの等式で確かに大きな部分を占めます。トラックスプリントや競輪競技を除き(純粋なストレングスではなく、レッグスピードへの依存度がいまだ高い競技です)ほぼあらゆるタイプのロードレース(ヒルクライミング、クリテリウム、長距離、タイムトライアル、トライアスロン、ママチャリでよく行くミスタードーナッツまで出かけるなど)におけるサイクリングパフォーマンスに必要なのが筋肉の耐久力です。

ですが、オフシーズン(12月上旬から3月中旬まで)がストレングスの強化にはベストタイミングです。というのも、強化練習はサイクリングパフォーマンスにマイナスの影響を与えることがあるためです。強化練習は、他のトレーニングと比べて長めのリカバリー時間が必要でもあります。定期的にレースに参加したり、激しいグループライディングを行うシーズン中は、筋肉をリカバリーさせるために練習を2〜3日空ける余裕がありませんから、強化練習はオフシーズン中に行うのがベストでしょう。

強化練習の場所はジムでもバイク上でも可能です。サイクリストは大抵、冬季基礎トレーニングに合わせて、3〜4ヵ月のウェイトリフト期間を入れます。本プログラムでは、「*筋肉適応」期間からスタートして、ウェイトが重くなる次のトレーニング、「*最大ストレングス」期間に向けて筋肉を備えます。筋肉適応期間は、コアを鍛えて、腹部、腰、腹斜筋のエクササイズで筋肉を安定させるのにもぴったりの時期です(これが最大のパワーを生みだし、怪我を防ぎ、耐久力とクライミング能力を最適化するカギです)。繰り返しますが、筋肉適応期間から最大ストレングス期間に移り、この時、重いウェイトを使って1セットあたり6〜8回の少ない繰り返し運動を行います。最後の「*筋肉耐久力」期間は、最大ストレングス期間で得た、新しく発達したストレングスを使って、1セットあたり15〜20回まで繰り返し運動を増やす筋肉耐久力トレーニングにレベルを上げます。

この筋肉耐久力期間中に、バイクでのレッグストレングストレーニングも組み始めます。このトレーニングでは、70〜80rpmという低いケイデンスのもと、大きなチェーンリングで適度なペースのライディングを長時間行います。最長2時間の長い*テンポ・インターバルと、50〜55 rpmで行う短い10分間の*マッスルテンションインターバルも有効です。春シーズンのこの期間はテクニックがあまり無いため、ペダリングテクニックもスムースでなく効率も上がらないかもしれません。それでOKです。自分がクライミング中のヤン・ウルリッヒだと思ってください。スロー but ストロングです!


12月から3月にかけて得たストレングスで新たなシーズンの備えが出来たため、冬季ウェイトトレーニングプログラムで全て正確にこなしているかを確認したくなるかもしれません。春季トレーニングへ移行を始める場合、プログラムに*ファースト・ペダルインターバルをウィークリーで組み入れます。

レジスタンスをほとんどつけず10分間110rpmでスタートし、ゆっくり加速して60分後には120〜125rpmにします。最初からスムースなペダリングを期待してはいけません。低いケンデンストレーニングをしてひと冬過ごした後では、自分のペダルストロークにむらがあり、ラフな感じがするでしょうが、これはほとんどのサイクリストに普通に起こることです。サドルで多少バウンスし、スピンインターバルでの心拍数も劇的に上昇しますが、マッスルメモリーや効率が良くなると、どんどんスムースになります。新たに発達した有酸素上の効率に心臓血管系が適応すると、スピンインターバルでの心拍数も最終的に15%も低下します。しかも忘れてならないのは、サイクリングでは効率がすべてということです。効率、効率、効率!です。

ピークパフォーマンストレーニングの第1フェーズにおいて、高いケンデンスで生理的効率を上げる取り組みをすると、最終的に*閾値と*無酸素性のインターバルも行うことになります。冬季トレーニングで健康状態がベストになると、ロードスピードとパワー全体の向上を実感し始めます。しかし、ストレスの大半がマッスルシステムにかかるといずれは、大きな力を生み出す能力の限界に到達します。脚の筋肉それ自体が出来ることには限度が有ります。この段階から、オフシーズン中に培ったストレングスと春季トレーニングの初期で増強を始めたレッグスピードを組み合わせ始めます。この2つ(ストレングスとスピード)を組み合わせることで、ついにパワーが大きく増加したのがわかるようになるでしょう!

レッグスピードは、クライミングからスプリンティングまで、サイクリングにおけるあらゆる要素に欠かせません。これにぴったりあてはまる例には、アームストロングがフランス・アルプスを110のケイデンスでクライミングするのを、ウルリッヒが80のケイデンスで忍び寄ったことや、ラボバンクのロバート・ゲシンクによる見事なペダリングの効率が挙げられます。アームストロングとウルリッヒを比較すると、二人とも熟練したクライマーですが、アームストロングはケイデンスを高めにすることで、アタックやテンポの変化に容易に反応することが出来ました。一方、ウルリッヒは、集団から再び離れずついていけるまで、ペースをゆっくり上げざるを得ませんでした。

別の例には、トラックレーサーにおける、信じられないレッグスピードがあります。一般に信じられているのと異なり、トラックスプリンターを成功させるのは単にストレングスだけではありません。大きなギアを回転させるにはストレングスが必要ですが、ギアをポジショニングしてスプリントの勝利をもたらすのは、迅速な加速です。こうした加速は大半が、とてつもないレッグスピードに由来します。この例には、ロビー・マキュアンがぴったりです。彼は若い頃、BMXレースで信じられないほどのペダリングスピードとスムースな走りを展開しました。


49/23で110rpmをスピニングしても、レースで勝てないと考えるのは正解ですが、53/11で110rpmの場合は、レースで勝つことになります。そこで質問ですが、それをどう行うかです。

ほとんどのサイクリストが軽視してしまう最大のトレーニングフェーズが私の考える「パワートレーニング」です。トレーニングはすべて、ある程度パワーを組み入れますが、ピークイベントが近くなると、勝利のために、または競争力をつけるためだけにも必要な、大きなパワーとパフォーマンスを生み出すすべてのエネルギーシステムを結びつけて行きます!このトレーニングでは、*閾値と*無酸素のサイクルトレーニングを継続しつつ、ケイデンスを80〜85rpmから100、さらには120rpmまで増加させていきます。クレージーに聞こえるかもしれませんが、120rpmの無酸素インターバル、クリテリウムで110rpmのペダリングを楽にこなせるならば、110rpmのペダリングは(レッグスピードと加速が成功のカギです)自然に感じます。忘れてならないのは、100〜110rpmで300ワットのパワーを生むほうが、80〜90rpmで300ワットのパワーを生むよりもずっと簡単で効率がいいと感じるということです。

これに慣れるには時間が必要ですが、インターバルのケイデンスと全体のライディングケイデンスを着実に伸ばして100rpmまで行くことが出来ますから我慢してください。何故するのか。理由は、このトレーニングで貴重な長期的サイクリング能力を伸ばし、全体の結果として、どんなサイクリング分野においてもライディングパワーのレベルが向上するためです。

高いケイデンスでトレーニングやレーシングを行う長所がもう一つあります。筋肉からストレスを除去することで、強度の高いトレーニングが複数または連続的な日程で行えるようになるということです。日々のステージレースパフォーマンスも最大化され、リカバリー時間が最小化されます。ケイデンスを高くすることで、高いパワー、少ないリカバリーで、インターバルを増やせるようになります。こうして新たな能力をレースで使うと、アタックが何度も行えるようになります。ライバルたちはすでに力を使い切り、息切れがして、あなたがどんな魔法のドラ焼きを食べているのか首をかしげている最中だというのに!

サイクリングの持つ特有なパワーの基本について、これではっきりとおわかりになったと思います!

1. ストレングスはオフシーズンに増強する。
2. スピードは移行フェーズの早春に伸ばす。
3. パワーは、ストレングスとスピードのコンビネーションから生まれる。


さあ、あなたも外に出てトレーニングを始めましょう!そしてレース会場でお会いしましょう!

トレーニングプログラム中にテンポワークアウトを行うとたくさんの利点があります。

波状地でクルージングしていても、快適度が増す。
長いレースやライディング時の燃費が向上する。
強度の高いワークアウトに対する能力が増す。
適度な強度でパワーが向上する。
筋肉のグリコーゲン貯蔵能力が増す。
フリー脂肪酸酸化の改善、これにより筋肉のグリコーゲンが保たれる。
ミトコンドリア量が増加する。
無酸素における効率が増す。

行い方
規定の心拍数以下の場合、ペダルスピードは低く、ケイデンスレンジを70〜75にします。テンポインターバルは、ペダルレジスタンス増加と脚の筋肉強化に役立ちます。テンポワークアウトの間は、ヒルクライミングの際は通常、サドルに留まるようにします。これで激しいワークアウトの前に、ペダルレジスタンスが増加し、結合組織と支えの筋肉群が整えらます。
重要なのは、出来るだけ中断を入れずにテンポワークアウトの全時間をライディングすることです。つまり、テンポワークアウトは、決めた時間で連続的にライディングを行うことで、最大の恩恵が得られるということです。

インターバル時間:10分間から2時間を1セットまたは最大3セットに分ける。
インターバルのリカバリー時間:10分間
セット間のリカバリー時間:30分間
自覚的運動強度:7(1=最も楽&10=最もきつい)
心拍数:35歳以下:毎分最大心拍数の約88%
35歳以上:毎分最大心拍数の約86%
パワーメーターを持っている場合:パワー/ワット数:30分間で最大パワーの80-85%

 

サイクリング特有のストレングスを伸ばします。このインターバルにおける高いマッスルテンションは、強度の高いトレーニングで重要な速筋線維の発達に役立ちます。

行い方
このワークアウトは、長く適度な傾斜面(5-8%)で行うか、通常の水平面から10-15センチ程度、前輪にやや傾斜を付けてクライミング時のポジションをシミュレーションしながら、ホームトレーニングマシンで行います。ペダルケイデンスは低くして(50-55 RPM)、脚はゆっくり動きますので、心拍強度は重要では有りません。低いケイデンスと高いマッスルテンションを出すには大型ギア(アップヒル用53x13-16など)が必要です。インターバルでは、正確なテクニックを厳密に保たなくてはなりません。正確なペダリングフォームに集中している間は、
上体を完全にスムースにリラックスしておくため、強い集中力が求められます(自分の身体が水分を含んだ大きなヌードルだと想像して下さい!)

インターバル時間:5分間から15分間を2セットまたは最大5セットに分ける。
インターバルのリカバリー時間:10分間
セット間のリカバリー時間:15分間
自覚的運動強度:7(1=最も楽&10=最もきつい)
心拍数:不要
パワー/ワット数:不要

 

高速ペダリングによるペダリングメカニクスと有酸素運動の効率を向上させます。

行い方
このワークアウトは、比較的平らな路面で行います。ギアリングは軽く、ペダルレジスタンスを低くします。約90 rpmのケイデンスから、ペダルスピードを徐々に増し始めます。サドルに留まりながら、ペダルスピードを増して、腰は揺らさずにスムースさを保ちます。ペダルストロークの下から上へ回転させることに集中します。ファーストペダリングを90-100で約1分間行った後(ウォームアップフェーズ)。ファーストペダルインターバルの規定時間全てにおいて、ケイデンス110-130 RPMを保ちます(春季トレーニングの終わり近くに、ビギナーは1分間、上級者は5分間)。このワークアウトの最中に、心拍数は上昇しますが、これは自然なことです。時間の経過と共に向上するにつれ、有酸素システムもやがては心拍数が低くても適応していきます。重要なのは、出来るだけ中断を入れずにファーストペダルインターバルの全時間をライディングすることです。つまり、決めたトレーニング強度で連続的にライディングを行うということです。

全くビギナーの場合、このインターバルを行った翌日に太もも裏の激しい筋肉痛を起こすかもしれません。ペダルレジスタンスはとても低かったというのに、です!しかし、めったに使わない太もも裏の筋肉を突然使うのですから、これは普通に起こることです。最初の2-3セッションでは、ワークアウトを再開する前に、筋肉に完全なリカバリー時間を与えて下さい。

インターバル時間:1分間から5分間を1セットまたは最大5セットに分ける。
インターバルのリカバリー時間:行うインターバルの時間と同じ。
セット間のリカバリー時間:5分間
自覚的運動強度:7(1=最も楽&10=最もきつい)
心拍数:不要
パワー/ワット数:不要

 

乳酸耐性とバッファリング能力を向上することで、乳酸閾値を上回る持続的なパワーをつけます。

行い方
このワークアウトは、比較的平らな路面または、屋内トレーニングマシンを使って行います。ギアリングは適度にし、ペダルケイデンスは高くします(100rpm以上)。最初の1分間、強度を徐々に上げて、乳酸閾値となる心拍数にします(おおよその閾値レンジについては、心拍モニターのユーザーマニュアルを参照して下さい)。5分間、この心拍強度レンジを保った後、下記に規定したインターバルレベルまで心拍強度を上げます。規定のインターバルでこの強度を保った後、乳酸閾値の心拍数まで強度を下げます。このライディングパターンを乳酸閾値のまま続け、出来るだけ多くの回数で、乳酸閾値以上に上げたり、閾値に戻したりします(ビギナーは2回、上級者は8-10回まで)。

このワークアウトを行うことで、高レベルの乳酸が出されますが、身体が乳酸を消散し、緩衝します。これは「乳酸耐性」を高めるトレーニングとしても知られています。通常、乳酸閾値を超えるインターバル時間は2-3分間に制限し、乳酸閾値でのインターバルを5-10分間にします。乳酸閾値トレーニングは、身体にとてもストレスがかかりますので、とても慎重に行う必要が有りますので、2-3日間など、ワークアウトからのリカバリー時間を設けます。

時間:乳酸閾値以下で5分間-10分間
   乳酸閾値以上で2分間-3分間 を2セットまたは最大5セットに分ける。
インターバルのリカバリー時間:10分間-15分間
セット間のリカバリー時間:10分間
自覚的運動強度:9(1=最も楽&10=最もきつい)
心拍数:35歳以下:最大心拍数の90-92%
35歳以上:最大心拍数の88-90%
パワーメーターを持っている場合:パワー/ワット数:30分間で最大パワーの85-90%

 

ソロアタック、アタックのチェーシング、チームスプリンターのリードアウトなど、トップスピードやパワーの反復能力を高め、クリテリウムレースにおいて多くのコーナーから加速出来るようになることです。

行い方
このワークアウトは、多少追い風が有る比較的平らな路面で行うことで、トレーニング中のトップスピードが高められます。ギアリングは適度にし、ペダルケイデンスは高くします(110rpm以上)。このインターバルではスピード、パワー、加速がカギとなる要素であり、心拍数ではありません。このワークアウトを行うことで、高レベルの乳酸が蓄積されますが、身体が乳酸を消散し、緩衝する際の効率を高めるようトレーニングします。

通常、インターバル時間は1分間以下に制限します。必要ならば、ギアを軽くシフトして、高いケイデンスを保ちますが、インターバルの強度は下げずにおきます。高いケイデンスにより、反復的な高速のライディングに適応する身体能力をトレーニングします。
インターバル間のリカバリーは、イージースピンにします。スピードインターバル間のリカバリー時間は制限して、反復性とリカバリーを高めます。スピードトレーニングは、身体にとてもストレスがかかりますので、とても慎重に行う必要が有ります。スピードインターバルを行う週では、全体のトレーニング時間を20-30%減らし、スピードインターバルからきちんとリカバリー出来るよう促します。

インターバル時間:15分間-30分間を1セットまたは最大5セットに分ける。
インターバルのリカバリー時間:45秒間&30秒間まで減らす
セット間のリカバリー時間:10分間
自覚的運動強度:10(1=最も楽&10=最もきつい)
心拍数:不要
パワー/ワット数:不要

有酸素/スピードインターバルトレーニングの2例

セット数×3
インターバル×5
時間:15秒間
インターバルリカバリー:45秒間
セットリカバリー:10分間

セット数×3
インターバル×5
時間:25秒間
インターバルリカバリー:35秒間
セットリカバリー:10分間

*筋肉適応フェーズ:ロー〜ミディアムウェイトで2セット×10-15回繰り返し
* 最大ストレングスフェーズ:ヘビーウェイトで2-4セット×6-8回繰り返し または筋肉が衰弱するまで
*筋肉耐久性フェーズ: ミディアム〜ヘビーウェイトで2-4セット×15-20回繰り返し

 
 
indexへ