カーボンナノチューブを世界に先駆けて自転車のフレームに応用したのがBMCだ。アメリカ・イーストン社とのコラボレーションにより開発されたSLC01は、カーボン繊維をつなぐエポキシ樹脂中にカーボンナノチューブを混入させている。ナノという単位は、科学の分野では10億分の1という意味で使われる。すなわち1ナノメートルは10億分の1メートル(=100万分の1ミリメートル)ということになる。
フレーム単体重量を990gという超軽量に抑えながら、強度は飛躍的にアップさせることに成功。フレームの設計にはCADとFEM(Finite Element Method =有限要素法による解析)を採用している。これによってコンピュータ上であらゆるシミュレーションが可能になり、数多くのプロトタイプを作成しなければならなかった、従来の勘にたよる設計とは段違いの短期間に、完成度の高いフレームを作れるようになった。
BMC独自の外見的特長である、T型トップチューブと、数本のチューブによって接合されるシートチューブ上端部の造形は、クロスロック・スケルトンデザインと名づけられている。このデザインによって、強い接合部が実現し、チューブ全長の短縮にも成功している。また、発生する応力を完全に分散し、ペダリング運動による力の伝達性の追及を狙った形状は、コンピュータシミュレーションによる解析データに基づいたものである。
使われる素材は、ユニディレクショナル(単一方向性)スーパーハイモジュール700カーボンだ。これをシート集合部、ボトムブラケット、ヘッド部など、部位によって方向性を変えて積層し、同一重量の中で最も高い強度が出せるように工夫している。
ヴィノクロフのバイクには、パワー測定器であるSRMのクランクが装着されていた。トレーニングや調整レースならいざ知らず、本気も本気の大舞台ではまず見られない光景だ。もっとも、多少重めのSRMをつけていても、ヴィノクロフのバイクは規定重量ギリギリ(7.0kg)に収まっていたというから、たいしたハンデではなかったのかもしれない。
またホイールは、前後で高さの異なったディープリムがチョイスされていた。ハンドリングの悪化を嫌ってのことかもしれない。 |
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