一時期のロードバイクシーンを席巻したカーボンバックの先駆者・プリンスが、フルカーボン化されてふたたび最前線に投入された。全体的な雰囲気に、かつてのプリンスのそれを見出すことは簡単ではないが、駿馬の血統は、その走りの質にこそある。
最近微妙に流行している、微かにベンドしたトップチューブは、これまた主流となりつつあるセミスローピングスタイルでまとめられている。各チューブも、応力対応デザインになっているとはいえ、全体的にはラウンド形状を保ち、アルミ全盛期のバイクに見られた、角張ったチューブによる無機質感やメカメカしさは影を潜めている。
モノコック構造でありながら、各チューブの造形はとても複雑で、路面からくる圧縮方向の力に対応するリブ状デザインが特に目を引く。ヘッドやBB周辺のボリュームも大きく、独占供給される50トンカーボンも相まって、軽量高剛性な走りが実現されている。
高弾性率カーボンを使ってはいるが、フレーム重量自体は実は圧倒的に軽いわけではない。しかし、弾性率に任せた、むやみな薄肉化による軽量を追い求めず、必要な剛性や強度の確保に振ったコンセプトに、ツールで多くの勝利を手にしてきピナレロならではの堅実性が感じられる。
フロントフォーク&バックステーは、相変わらずのピナレロ流ともいうべき、有機的でグラマラスな造形を見せつけている。カーボン製パーツは、形状よりもむしろ、繊維の積層のしかたがキャラクター決定に大きな影響を与えるのだが、ピナレロがこだわるだけの理由がきっとこのフォルムにはあるのだろう。実際選手はもちろん、一般ユーザーにも高く評価されているのがその証拠だ。
今年の各メーカーのバイクには、オーバーサイズBBが搭載されているのが目に付いたが、その動きに先鞭をつけた当のピナレロは、自身のオリジナルBBシステム・MOSTの代わりに、コンベンショナルなBBの使用を可能にした。餅は餅屋ということだろうか? もっともBBハウジングはオーバーサイズになっているから、他社と比べて剛性面でのディスアドバンテージはないだろう。 |
 |