創業百年のイタリアの老舗・ウィリエールのルロワ。百周年記念モデルのチェント(伊語で百の意)が出ても、王(仏語でルロワ)はまだまだレースシーンに君臨する。
バランのバイクはカンパニョーロ・レコードがアッセンブルされているが、フロントディレーラーだけにコーラスが使われていることが、アルミ製ガイドプレートで判別できる。ちなみにパリ~ルーベの時バランはスチールフレームを使い、クランクはアルミ製だった。大柄な選手故に、機材の耐久性や強度に腐心していることがうかがえる。ステージレースではまったく例外的なチョイスなはずの、24mm太さのヴィットリア・パヴェを使っているのは、自身の重さからくるショックの軽減を狙ってのことだろう。長丁場のステージレースを走りきるには、衝撃の吸収も大切な要素だ。
ところでこのルロワは、最新のカーボンモノコック製法によって、ビッグサイズのホリゾンタルフレームにも関わらず、その重量は990gに収まっている。サイズの自由度が少ないとされているモノコックにも関わらず、ラインナップにない水平トップチュービングを用意しているのは瞠目。
フレーム各部にかかる荷重や負荷に従って、T60、40、30という、三種類のカーボン繊維が使い分けられているおかげで、軽量高剛性はもちろん、バランのような高出力の巨人が、三週間の過酷なレースを走り抜くだけの耐久性をも兼ね備えている。応力対応デザインではない、ほぼ真円なチュービングは、それゆえ全方向的に安定なパフォーマンスを想像させてくれる。フォークはミズノ。最近では珍しい選択だが、性能には定評あるブランドだ。
重量的にはやや不利とされているクラシカルスタイルだが、そのナチュラルなライディングフィールによって根強い支持者がいるのは事実だ。特に大柄な選手の場合、相対的に重心が下に来るスローピングフレームだと、ライディングフィールに違和感が出ることがあるのがその理由らしい。
レース機材にとって、マスの集中は絶対的命題であるはずだが、人力頼みの自転車には当てはまらないようだ。いくら強力なパワーがあっても、伝達されなければまるきり無意味だ。 |
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