今中:スイスもそうだけど(レースで)観光名所いっぱい行ったよね?
別府:そうですね。自転車選手はまじまじとは行けないんだけどレースで(観光名所を)いっぱい走ってますよね。
今中:地元の選手が「ここはゴッホが画に描いた土地なんだ」とか、「ここはどういう歴史がある城で・・・」とか、いろいろ教えてくれたりね。レースに集中しているから、すぐ忘れちゃうけど(笑) パンフレットもあらかじめコース上しか見ないし、どういったルートなのかも同室の仲間の選手が知っていれば教えてもらえるけど大抵後で知ることが多いよね。
別府:そうですね。意外とレースのパンフレットを後で見て「あれこの写真… あ、あれここなんだ!」ってことがいっぱいあったりして(笑) この間のスイスもすごいきれいで有名な場所があって「あ、ここだぁ!」と思って(チームの)みんなに「ここ有名な場所だよね」って聞いたら「いや、知らない」って、意外に知らないってことがあったりして(笑) だから後から知るともっともっと見ておけば良かったなって思いますね。
今中:スイスももちろんだけど、例えば自分の住んでいるフランスでもどう? そういうところ走ってみて何か思う?
別府:やっぱり歴史を感じますよね。町並みにしてもそうだし。地元の人も「ここは由緒正しい歴史がある所なんだ」とかそういう話から始まるんで、そんな話を聞いていると興味持ちますよね。そして日本には無い風景だから自分の心に留めておきたいですよね。そして向こうは雄大ですよね。
今中:歴史があるって話があったけど、当たり前のように石造りの家とか有るしね。立て替えする時もその外観を壊さずに上手く利用して何百年も住んでるとかね。ホテルなんかもそうだよね。スキーリゾートのホテルもそうで新しいものと古いものが融合してるよね。
別府:だから古い外観と新しい中身のギャップを感じますよね。逆にそういうもの(歴史や文化など)をとても大切にしてるんだなって思いますよね。そういうのを見るために行く価値も有ると思いますよね。
今中:観光地はもちろん分かりやすい良さが有ると思うし、そうじゃなくても一本、道を離れたところでもね。イタリアの僕が住んでた所の近くに自転車好きの伯爵がいらっしゃってね。時々招かれて行くと、外観は本当に古いんだけれども、中には大きな何百年も経つようなタペストリーがあったり、階段の造りなんかも非常に豪華で心の中が豊かなんじゃないかなと想像するよね。もちろん日本も日本の良さがあるんだけどね。
別府:そうですね。
今中:そうだな。自分にとって心に残ってる場所とかある? 思い出の場所っていうか。しかもハプニングなんかあったところなんてある?
別府:そうですね。カナダのケベック州ですね。とてもきれいで、高校生の時に初めて行った海外だったから、特に胸躍った記憶がありますね。レースコースがどの道も横が森でずうっと一本道なんですよ。毎回その一本道を走り続けて、最後周回で何周か走ってゴールなんですね。一週間くらいの長いステージレースなんですけど、そのずどーんと続く一本道を今日は東から、明日は南から一本道みたいな道を走ってケベックに戻る周回レースなんですよ。
今中:えぇ!
別府:でも、このレースはジュニアのワールドカップに使われたんですよ。昔だとローラン・ジャラベールとか有名な選手がたくさん走ってるんですよ。
今中:へぇ。行ったことないなぁ。
別府:すごい良いところでしたね。ケベック州はフランス領だったので、町もフランスとアメリカの町並みが融合したような町だったので面白い町でしたね。
今中:それで食事なんかもおいしい?
別府:それはアメリカ文化だから好きずきかな?(笑)でもその土地の良さがあるというか(笑)
今中:でもさ。(当時の)チームメイトがアメリカのピザを美味いって言ってたよ。アメリカのピザチェーン店に行って美味い美味いって食ってたよ。あんなに自国料理しか認めないって連中が意外にアメリカを楽しんでいたよ。
別府:僕、一度アメリカに行って、イタリアで食べたサイズとアメリカで食べたサイズが天と地ほどの差があって、僕Sサイズを頼んだはずなのにLサイズが来たんですね。「Sです。」って来て、そのイタリアとのサイズの違いに「頼んでないけど」って(笑)
他にはスイスとフランスとイタリアの国境の間のアオスタ渓谷ですね。人の手は入ってるんだろうけどそれでも、人の手が入ってないような大自然で、湖があったり山岳鉄道が走っていて、今でもレースで走ったりするところなんですけどものすごくきれいで景色良かったですね。
今中:あの辺りだとトリノからセストリエールに上って、そこからフランスのブリアンソルの間はツール・ド・フランスでもおなじみのコースで、あの辺りもきれいだよね。
別府:あの辺りは僕の中でもヨーロッパの中でも有数のきれいさなんじゃ無いかと思うほどきれいですね。すごくお気に入りな場所です。
今中:日本のサイクリストが行っても楽しめる。ジロやツールを見に行ってついでに自転車も持って行けば楽しめるところだよね。歩いても楽しめるし。
別府:歩くんですか?(笑)
今中:いや、もう歩ける。選手の頃は歩けないよね。水球選手もそうみたいだけど、特化したスポーツの選手は特定の部分で不利を受けたりするよね。自転車選手も歩く衝撃に慣れなくなってしまう。話がそれてしまったけど、あとイタリアからスイスの氷河を貫いて進む氷河鉄道というのがあってね。たしか真っ赤な車体に白い十字のマークの鉄道でね。それなんかもう電車で旅したいって思ってしまうよ。自転車競技をしていて辛い思いをして走っていてね。下走ったらすぐなのに、わざわざノコギリみたいな所走らされたりしてね。(笑)
別府:それ、僕が言いたかったな。(笑) でも本当にレースじゃなくて観光で来たいなって所がいっぱいありますよね。
今中さんなんかのお気に入りってありますか?
今中:僕のお気に入りはたくさんあるけど、ドイツに移動する時、大抵飛行機チャーターして行くんだけど、でも「自分で車を運転していけ」ということもあって、そういう時にはドイツのバーデンバーデンで大きい温泉に入るのが楽しみだったかな。
別府:でもヨーロッパの温泉って病人が入るというイメージありません?
今中:(笑)湯治の為にね。でもね。そのバーデンバーデンは水着で入らないといけない温泉でね。家族とか彼女とかと楽しんで入浴するところでね。たぶんヨーロッパ中から集まってくる温泉なんだと思う。行ってみたらいいよ。ちょっと遠いけど。(笑)
別府:飛行機ってチャーターしていたんですか?
今中:自家用機のチャーターじゃなくて、イタリアのチームはまとまってミラノから飛ぶことが多いので、特にイタリアは北部の選手ばかりだから、そうするとリナーテ空港ってところに集まってそこから出発する。いろんなチームの選手がみんな一緒に乗ってチャーター機飛ばした方が早いってことになる。チポリーニとかね、うるさいのがいっぱい居て、どかっと乗ってね。帰りにもし飛行機が遅れたりしたら、チポリーニがステージに立って「じゃあこれからちょっとゲーム始めるから」なんて言って、もう余興が始まるわけ。それで引っ張り出されて、パンツ脱がされそうになってね。もう楽しいのだけれど、冷や汗もののイタリアならではの雰囲気あったよね。
別府:まぁ移動は自転車持って行かなくて、スーツケース一個で行けばいいのでそんなに気になりませんよね。
今中:えっ? 自転車持って行かないの?
別府:はい。レース用の自転車はチームが所持しているのでチームが持ってきてくれるんです。
今中:僕らはどのチームも年間数台渡されて、今使っているのをレースでも使うって方式だったけど、今は違うのかな? それともディスカバリーだけが違うの?
別府:今はどのチームの選手も自転車を移動の飛行機に持ち込みませんね。昔はヨーロッパどこでも飛行機に自転車を持ち込めたけど、今はチャージのお金がかかってしまうから持ち込みませんね。
今中:あら。。。へー。もう昔懐かしの話になっちゃったか。(笑) それでトレーニング用の自転車は家に別なのがあるの?
別府:そうですね。レースで使うのとほとんど同じものがあります。だからポジションなんかもチームメカニックが知っていて、もし石畳とか走ってポジションが変わってしまったら直してくれるんです。
今中:僕らはどんなにメカニックが優秀でも普段から自分で使ってる自転車だったから自分達で調整していたよ。サドルが1mmくらい高くても変化が分かるからなぁ。
別府:そうですね。乗っていて気分悪いですよね。だから逆にポジションいじったら、メカニックに申告しないと以前のポジションにされてしまうんですよ。
今中:なるほどね。話戻るけど他に良かったところってある?
別府:ビアレッゼって所がきれいでした。
今中:それどこ?行ったこと無いな。
別府:フランスなんですけど、南西のスペインとの国境付近でサンセバスチャンのフランス側に位置する海岸です。あそこの夜の海岸はすごいきれいですよ。
今中:へぇ〜。ビチクレッタ・バスカっていうバスク一周のレース。僕、何度か最終日ブーニョと何度か走ったんだけど、あの辺走るよ。あそこ泊まった? 海辺に向かってレストランがどーーんって広がってるホテル。
別府:あぁ、そこかもしれないですね。誕生日をそこで祝って貰いましたよ。シャンパンあけたりして。その時の夜が本当にきれいで。
今中:たぶん同じホテルだよ。あのホテルなんて名前?
別府:あー、、、覚えてないです。(笑) バスク走ったりしてるんですか?あそこきつくないですか?(笑)
今中:きつい(笑)
別府:あのー、今中さんが「レースで通って引退してからここに行ってみたかったんだよ」って行った場所ありますか?
今中:おっ。僕に質問? そうだな、引退してから行ったのは無いかな。
別府:それじゃオフになったら行こうって行ったところなんてどこですか?
今中:イモラのインター近くのホテルなんかそうだけど、普段苦しめられているドロミテに行ったなぁ。車で走ってみたいってね。12月に行ったよ。
別府:(笑)そんな時期にドロミテ行ったら凍ってないですか?
今中:凍ってた。(笑) 上りが凍っていて南に下ったんで良かったけど。(笑)
それじゃフミはレースで行ったところで観光に行ってみたいところある?
別府:やっぱり登山鉄道に乗って雪山にいってみたいかな。
今中:登山鉄道ね。あれは良いよ〜。あれは最高だよ。(笑)
それじゃ暇があったら乗ってみたらいいよ。そのくらいは楽しまなきゃ。
別府:リタイアしてからかなとは思ってるんですけどね。
今中:僕もそう思ってたけど引退してからも忙しいよ。(笑) 話の腰を折るようだけど。(笑)
別府:そうですね。他にはレースで行った場所には観光に行ってみたいですよね。例えば去年、世界選手権でいったオーストリアのザルツブルグ。周りは走ったんですけど、中には行けて無いんです。外から見た町はすごいきれいで、去年はモーツァルトの生誕250年記念だったそうで、中に行きたかったんですよ。世界選手権はマドリードとか都市でやることが多いからそういうのがいっぱいありますよね。
今中:世界選手権走ってると、いろんな国や場所に行くからたくさん経験できるよね。そしたらさ、そんな経験を活かして普通の人が自転車持って行って走りやすくて、景色も良いような所とか、おすすめの場所ある?
別府:南フランスとか良いんじゃないですか。天候も良いし、自転車道もあるし、リュックサック一つで走って問題ないし、快適に自転車を楽しめると思いますよ。北の方だとどうしても天候が悪いから雨具が必要になるし、ベルギーやオランダも自転車道あって、走りやすいけど南フランスに比べれば狭いから、やはり快適にかつ楽しめるというのならおすすめは南フランスかな。クルマのマナーもサイクリストが多いから悪くないし。
今中:国でいろんなことが違うね。イタリアは自転車とクルマの共存意識がきちんとあったり、または道路がそういう構成になっていたりして、事故は少ないので安心して走れるけど、やはりね中世の町に入ると、急に道幅が狭くなったり、と、様々道路事情が違うので、自己の注意が思ってるより必要ってのはあるね。そういう意味ではスイスは良いかもしれないね。例えば湖の周りとか、山岳の麓とか普通の女性が変速機は付いてるけど……、って自転車でしゃかしゃか上って行っちゃうもんね。そうでなくても、どうみても運動して無さそうな人も自転車に乗ってるよね。
別府:そうですね。スイスの湖の周りはサイクリングロードみたいになってるし、走りやすいですよね。
今中:うん。自転車はね。前後輪が簡単に外れるスポーツタイプなら海外でも気軽に持って行けちゃうから、ぜひ持って行って楽しんで欲しいよね。分からない人は今回、場を提供してくれたトップツアーさんに相談してみると良いかもしれないね。なぜならトップツアーさんは「ホノルルセンチュリーライド」とかサイクルスポーツのツアーを組んでるんだよね。だから自転車を飛行機で持って行くノウハウもあるんだ。
別府:ホノルルセンチュリーライドってなんですか? どんな大会なんですか?
今中:ホノルルセンチュリーライドは、純粋に南国気分を味わいながら、気軽に参加できる自転車イベントっていうのかな。ハワイのホノルルという南国を走るんだけど、日本国内とはまた違う、ハワイ独特の開放的な雰囲気で最長160kmという道のりを景色を味わいながら、楽しむことができるイベントなんだよね。
別府:良いですね。行ってみたいですね。
今中:でしょ?
別府:僕も、センチュリーライドっていうんですかね、シクロスポルティーフって1000人以上とかたくさんの参加者で走る大会に三回出たことがあるんですけど、一回目はレーサーで行ってしまったので本気で走らされてしまって、優勝してしまったんですけど。(笑) でも、選手以外にもいろんな人、いろんな自転車が走っていて、ワイワイ話しながら走っているので、開放感や自由さからくる楽しさがありますよね。二回目からはゆっくり走ったんですけどね。僕は地元の人達と走ってたんで、知り合いがいっぱいできて、「去年も走ってただろ?」なんて聞かれたりして良いですよね。毎年、「(大会に)行けば知ってる人が居る」みたいなのが良いですよね。
今中:そうだよね。それがホノルルセンチュリーライドにもあるんだよね。自転車のプロとして走っていると、仕事だから“楽しむって気持ち”を片隅に追いやられてるってことがあるのだけれども、こういうイベントは改めて自転車の楽しさを実感させてくれるよね。
別府:そうですね。だからホノルルセンチュリーライドって、ハワイのホノルルってすごくロケーションの良い場所で、「みんなで楽しもう」って感じで走れそうで本当に面白そうですよね。
今中:ホノルルセンチュリーライドならではのファミリーで楽しむとか「がんばらなくていい、一生懸命じゃなくていい」って雰囲気が“らしくて”良いよね。
別府:でもね、それは今中さんだからゆっくり走れるとか、自由だからいいとか、楽しめているのかもしれないけど、でも普通の人が行ったら結構長い距離だから大変かも知れませんよ?(笑)
今中:いやいや。僕ね、このホノルルセンチュリーライドに向けての走り方講習会とか、やらせてもらっててね、「自転車に普段乗ったことがないけどホノルルを走ってみたい」っていうOLの方とかいらっしゃるけど、僕はそれでいいと思うんだ。もちろん準備はしなくてはいけないと思うけどね。
別府:そういう人でも参加して良いなら完走率とか高いんですか?
今中:うん。このホノルルセンチュリーライドは20マイル、25マイルから100マイルまで細かく区切ってあってね、自分で申請したところの地点まで行かなくても良いんだよ。逆に申請した距離に到達しても、気持ちいいからって、そのままルートを進んじゃっても良いんだよね。
別府:へぇ。面白いですね。
今中:なかなかこういう融通が利くイベントって少ないよね。だから普段、自転車に乗ってない女の子が、レンタサイクルで100マイル走っちゃったりするんだよ。
別府:ほーーー。
今中:そういうのが楽しくて「一生の思い出です」なんて人も多くて良いんだよ。もちろん走るだけじゃなくて、途中コンビニ寄ったり、地元の食べ物に挑戦したり、レストランに寄ったって構わない。そうやって、ロケーションごと自転車で楽しむってイベントなんだよ。
そのロケーションも最高でね。坂を越えたところに海岸がぱあっと開けたりしてね。
別府:へぇ〜。それ良いなぁ、行ってみたいなぁ。いつ開催なんですか?
今中:9月30日。世界選手権の真っ最中。(笑)
別府:くぅ〜、悔しいな。話聞いてるだけでも楽しそうで心躍りますね。行ってみたいなぁ。どんな人でも走りきれるようなシステムは歓迎できますよね。
今中:そうだね。ぜひ機会があれば参加してみてください。
別府:チャンスがあれば必ず参加します。
今中:それじゃ、海外イベントの話をしたから国内に目を向けてみようか。国内で人気のイベントだと、耐久レースとヒルクライムかな。ヒルクライムだと4000人規模のもあるんだよね。
別府:4000人!?
今中:そうだよ。4000人。日本でもそういうイベントも出てきたんだよ。そのくらい人気が出てきた。子供から少し手が離れた中年を中心に増えてる。
別府:それは分かる気がする。帰国して昨日練習に走りに行ったんですけど、会う人、会う人、みんな中年の方ばかりで、みんな楽しそうに走ってましたから。
今中:そうだね。でも若い層も増え始めてるんだよ。今「オーバードライブ」っていう自転車の漫画やアニメがやっていてね、それに影響されて、始める子供も多いんだ。子供よりもお母さんの方が一生懸命だったりね。(笑) あとは各地でイベントがあることで、家族旅行の代わりになったりしてきたことが起因してるということもあるね。
別府:なるほど、それはいいことですね。
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