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マウンテンバイク発祥の地と呼ばれる北カリフォルニアは、マウンテンバイクのみならず、ロードバイクもたいへん人気です。特に私の在住するシリコンバレーでは、サイクリングは交通手段としてではなく、スポーツとして人々の生活の一部になっています。健康維持のためにサイクリングを楽しむウィークエンドウォリアーから、オリンピック出場を目指して日々厳しいトレーニングを積むレーサーまで、さまざまな人がサイクルスポーツをエンジョイしています。このコラムでは、アメリカでの自転車レースを主なテーマに、サイクルスポーツをいろいろな側面から取り上げていきたいと思います。

カリフォルニアは、全米でも最もサイクルスポーツの盛んなところで、特にサンフランシスコベイエリアはサイクルスポーツのメッカと言っても過言ではないでしょう。冬場以外にはほとんど降雨のない天候の良さ、サンタクルズ山地をはじめとした美しい山々、太平洋に面した海外線の広い道路、自転車専用レーンの整備された道路網など、サイクルスポーツに適した環境が備わっています。

日常のトレーニングの拠点となっているのは、サンフランシスコから南に車で1時間ちょっと離れたサンフランシスコベイエリアと総称される地域で、ハイテク企業の集中するシリコンバレーに隣接しており、トレーニングに最適なルートまでは市街地からわずか20分足らず。サンタクルズ山地を越える美しい登りのコースが多々あり、山を越えた向こう側には太平洋に面した海岸沿いの1号線でのすがすがしい海風の中でのサイクリングも楽しめます。

毎年3月より本格的に始動するアメリカのナショナルカレンダーレース。その皮切りとなるのは伝統的にカリフォルニアで開催されます。これらのレースに参戦するために遠征していたセントラルバレーと呼ばれる地域と、高級ゴルフ場で有名なパームスプリング周辺のライド環境を紹介します。
まずはセントラルバレー。広大な果樹園の広がるセントラルバレーは、シリコンバレーから車で南東に数時間離れたところに位置します。毎年3月になると毎週末全米から自転車チームが集結し、セントラルバレーは自転車レースの中心へと変貌します。セコイア国立公園に程近く、牛が練り歩く牧場の合間を縫ってアップダウンする田舎道から、ダム沿いに気が遠くなるほどまっすぐ延びる道路には、信号や一時停止がほとんどないため、リズムを崩すことなくひたすらライドを楽しめます。春先には野生の花々が咲き乱れ、果樹園にはオレンジがたわわに実り、自然の美しさを満喫できます。ライドの途中で、突然道に憚る牛の群れに遭遇することもあるので、注意が必要です。

セントラルバレーからさらに南に車で4時間移動すると、20年以上の歴史のあるステージレースが開催されるレッドランドという町に到達します。2004年にはアメリカのオリンピック選考レース開催地に選ばれたという経歴もあり、サイクルスポーツの盛んな地域です。毎週火曜日の夕方には、グループライドの集団が坂の上の住宅地を駆け抜けます。自転車好きの集まる町であればどこに行っても、朝、昼、晩、時間を問わずこのようなグループライドに遭遇します。出勤前、ランチタイム、アフター5を利用してのトレーニングライドが毎日のようにあります。

集合場所はたいてい人気のコーヒーショップかバイクショップで、毎回決まったルートを集団走行します。ライドのレベルはまちまちで、レースレベルのハードなライドからポタリング程度のライドまで、その日の気分に合わせて選べます。例えばシリコンバレー周辺では、ランチタイムになるとオフィスのキュービクルから抜け出して来るリクラの戦士たちの集団が出没し、仕事の鬱憤を晴らすかのようにハードなライドで汗をかきます。時には100人を超える大規模なライドになるため、見慣れない人にはかなり圧巻な光景かもしれません。
レッドランドからさらに車で1時間内陸に向かって移動すると、広大な砂漠地帯が目の前に現れます。カリフォルニア州からメキシコ国境まで続く空虚なイメージのこの地域はインペリアルバレーと呼ばれ、灌漑農業で有名です。ハイウェイ沿いにカジノが転々としている以外はまったく殺風景なところですが、高級ゴルフ場と超豪華なスパリゾートで有名なパームスプリングスは年中観光客で賑わっています。

インペリアルバレーを取り囲むように内陸に広がるのはジョシュアトリー国立公園、その反対側にはアンザ=ボレゴ砂漠州立公園が横たわっています。砂漠気候のこの地域は、1月や2月でも温暖な気候であるため、毎年世界各国からアスリートが冬季練習に訪れます。湖の水位は海面よりも低いソルトン・シーはカリフォルニア州最大の湖です。コロラド川とも海からも孤立しているこの湖は、灌漑農業からの排水と蒸発率の高さから、湖水の塩分濃度が年々上昇しています。そのためか、湖沿いの道路を走っていると鼻を覆いたくなるほどの硫黄臭に襲われます。

湖畔の町であるソルトンシティからアンザ=ボレゴ砂漠州立公園までひたすら続く横断道路にはまったく信号がなく、一時停止交差点も2つしかないので密度の濃いライドができます。途中で給水できる場所は、ボレゴスプリングスの町または砂漠公園の案内所しかないので、砂漠の塵にならないように要注意。しかも燦々と降り注ぐ日差しからも吹き荒れる砂漠風からも隠れる場所などないので、サポートカーなしで乗り切るには気力と忍耐が必要です。
シリコンバレー、セントラルバレー、そしてインペリアルバレー...カリフォルニアにはいろいろな顔があります。ここで紹介したのはほんの一部で、カリフォルニアでのライド環境の素晴らしさを伝え切るにはおよびません。言葉よりも、きっと写真を見てもらえば、カリフォルニアの大地と青い空のイメージがもっとありありと伝わってくることでしょう。

つづく...

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